インプラントのトラブル

トラブルの原因1
 埋入位置の異常、
設計ミス

歯が痛い画像

手術前の診査は必要不可欠

インプラントの手術を行う前には、CT撮影などで三次元的に骨の状態を審査診断する術前診査が必要不可欠ですが、この診査が不十分だった場合、手術時に歯肉を開いてみたらインプラントを入れる予定の位置に骨が十分に無かったという事も起こります。

機能的な障害も起きる場合

骨の量が不十分だった場合、異常な位置(骨の量が足りず低い位置)への埋入となり、その結果、被せ物の位置が理想的なかみ合わせの位置ではなくなってしまうといった機能的な障害も起こります。
インプラントは埋入した後は歯槽骨と結合するため、天然歯のように動かないため異常な位置へ埋入してしまうと噛み合わせの位置が合わずうまく噛めない、かぶせ物が頻繁に外れる、噛み合う歯が割れてしまうと言った機能的な障害も発生してしまいます。

審美的なトラブル

歯肉が退縮することにより、
インプラント体(ネジ部分)が見えてくる等の審美的なトラブルも起こります。 歯肉が退縮することで審美的な障害だけでなく、ブラッシングがしにくくなりインプラント周囲の細菌のコントロールも難しくなるためインプラント周囲粘膜炎やインプラント周囲炎という病気も併発してしまいます。

トラブルの原因2 
インプラント周囲炎

歯茎画像

インプラント歯周炎とは

インプラントの周囲炎とはインプラント周囲組織に炎症が起きる病気です。 その原因は歯周病と同じでお口の中の細菌性プラークの感染によるもので起きます。

予防策について

予防法としては、

  • 適切な歯ブラシ、補助的清掃用具でのセルフケア
  • 定期的なメインテンス等のプロフェッショナルケアが重要なポイントになります

炎症の広がりが天然歯に比べると早い

天然歯は歯の根っこの表面を覆っているセメント質と歯肉の組織が結合して強いバリアにより細菌から守られていますが、インプラントはインプラント体という人工物を歯槽骨に埋め込んでいるため、天然歯に比べてバリアが弱く細菌の攻撃を受けると炎症の広がりが天然歯に比べると早くインプラント周囲粘膜炎、インプラント周囲炎という病気になってしまいます。

歯根膜の役割

天然歯は歯根膜という強靭なコラーゲン線維の束が歯根の表面のセメント質と歯槽骨を結合しています。 歯根膜は結合するという役割だけでなく、
感覚のセンサーの役割もしています。
サイレントディジーズ(静かなる病気)と言われている歯周病ですが、歯根膜というコラーゲン線維の束のおかげで違和感や異常に気付くことができています。  しかし、インプラントは天然歯と違って表面にセメント質がなく歯根膜が存在しないので、インプラント体の表面と骨が直接結合して固定されています。 そのため、インプラント周囲炎になり症状が進行してしまってもセンサーの役割をしている歯根膜がないためご自身で異常を感じる術がありません。

インプラント治療後の
メインテナンスが大切

インプラント治療後もきちんとメインテナンスを行えば、担当の歯科医師・歯科衛生士がチェックすることで変化にすぐに気付くことができるため万が一インプラント周囲炎になっても早期に対応することで残せる確率も上がります。放置すればするほど残せる確率も低くなってしまいます。

せっかく埋入したインプラントを長持ちさせるためにもインプラント治療後のメインテナンスは必要不可欠です。

※トラブルが起きて放置してしまうと最悪の場合インプラントを撤去する必要があります

インプラント周囲炎の対処で大切なこと

インプラント周囲炎の処置には歯周形成外科手術や再生療法などによる外科手術が必要になることもあります。 歯周形成外科手術はインプラント治療だけでなく歯周病治療に精通したエキスパートによる 処置が重要です。 当院、歯科医師はインプラント治療だけでなく歯周治療の分野を得意とし、歯科医師向けに骨を増やす手術などの再生療法を行う講師をしております。 インプラント埋入後のトラブルを抱えて悩まれている方、一度当院へご相談ください。

インプラント周囲炎の
進行の流れ

  1. 正常な状態 インプラントの人工の歯と人工の歯根(インプラント体)の接合部がしっかりと清掃されていて清潔な状態。 歯肉や歯槽骨(顎の骨)も炎症がなく健康でしっかりと骨とインプラントが結合されている状態。
  2. インプラント周囲粘膜炎 インプラントの周りの粘膜にのみ炎症が起こっている状態。 人工の歯と人工の歯根(インプラント体)の接合部付近に溜まった細菌性プラークが原因で歯肉や粘膜に炎症が起こっている。 歯茎炎症写真
  3. インプラント周囲炎 炎症が歯肉や粘膜だけでなく歯槽骨(顎の骨)にまで広がった状態。 歯槽骨まで徐々に広がり歯槽骨の破壊が起こり、歯槽骨がインプラントを支えきれなくなると インプラントがグラグラ揺れてきたり、脱落してしまう状態。 炎症施術写真

インプラント周囲炎の症状

  • インプラント周囲の腫れや出血
  • インプラント周囲歯肉のポケットの形成
  • 「痛い」と言っても「我慢してください」と言われトラウマになった…
  • インプラント周囲から膿が出る
  • インプラント周囲の歯肉が下がる
  • インプラントがぐらつく

インプラント周囲炎の発生率

 トラブル事象 発生率
 前装材の破損  13.5%
 インプラント周囲炎および軟組織のトラブル  8.5%
 アクセスホール封鎖脱離  5.4%
 アバットメントおよし補綴スクリューの緩み  5.3%
 セメント固定の脱離 4.7%
 トラブル事象 発生率
 前装材の破損  13.5%
 インプラント周囲炎および軟組織のトラブル  8.5%
 アクセスホール封鎖脱離  5.4%
 アバットメントおよし補綴スクリューの緩み  5.3%
 セメント固定の脱離 4.7%

Ronald E Jung 1, Anja Zembic, Bjarni E Pjetursson, Marcel Zwahlen, Daniel S Thoma; Systematic review of the survival rate and the incidence of biological, technical, and aesthetic complications of single crowns on implants reported in longitudinal studies with a mean follow-up of 5 years .  Clin Oral Implants Res.2012 Oct;23 Suppl 6:2-21

インプラント周囲炎の治療法

診察中の画像

細菌感染によって骨破壊が進み、
失った歯槽骨を回復させるための治療(再生療法)を行う場合もあります。

骨補填剤

人工骨、自家骨などを、骨が無くなった部分に移植してインプラントの周りの骨を増やす方法

メンブレン

人工膜を置いてインプラント周囲の骨の修復を待つ方法

FGG(遊離歯肉移植術)

不足している角化歯肉を増やす手術。
患者様ご自身の上顎の口蓋という場所からドナー(移植元)である歯肉を切り取り足りない部分に移植します。 歯肉の角化歯肉と言われる部分が不足していると色々な弊害が起こるので、それを予防するためにこの手術が行われます。 また、
FGGは歯肉の表面の上皮も一緒に移植するため移植した歯肉と元々の歯肉の色に違いが出てくることもあります。

CTG(結合組織移植術)

歯周病や加齢、強い力でのブラッシングなどによって、歯肉が健康な状態よりも下がっている(退縮している)ことがみられると、歯肉のトラブルが起こりやすくなります。インプラント治療を行う場合、リスクを減らすため、歯肉を増やす手術を行うことがあります。
歯肉の表層は“上皮”、内側は“結合組織”というもので構成されています。CTGとは、歯肉の足りない部分に移植を行う外科手術のことを言い、主に患者様自身の上あごの口蓋 [こうがい] から、『結合組織』だけを切り取り、足りない部分に移植します。歯肉の角化歯肉と呼ばれる部分が不足していると様々な弊害が起こることから、それを予防する目的で行われます。

これらの治療法を行っても症状が改善されない場合、または回復の見込み無い場合は、
インプラントを撤去することになります。

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