【専門医が解説】奥歯の歯周病は根分岐部病変に要注意!放置のリスクと最新治療法
目次
「奥歯の歯周病が進行するとどうなる?根分岐部病変のリスクと治療法」
~放置で抜歯?進行を防ぐために今すべきこと~
「最近、奥歯の歯ぐきが腫れてきた」「歯磨きしづらい場所がある」そんな違和感を放置していませんか?
奥歯(大臼歯)の歯周病が進行すると、**根分岐部病変(こんぶんきぶびょうへん)**という深刻な状態になることがあります。
この病変は、適切な治療を行わないと最終的に抜歯になるリスクが高い病態です。
今回は、実際の症例と共に「根分岐部病変の危険性」と「治療法」について詳しく解説します。
【1. 根分岐部病変とは?】
奥歯は、根が2〜3本に分かれている多根歯(たこんし)です。
その分岐点(根分岐部)に歯周病が及ぶと、非常に治りにくい病変となります。

▲歯ぐきを開いた状態。分岐部に汚れと骨吸収が進行している様子が確認できます。
【2. なぜ治りにくいのか?】
- 奥歯の構造が複雑で、汚れが残りやすく炎症が持続しやすい
- 通常の歯磨きでは届きにくい
- 外科的な処置も技術的難易度が高い
そのため、一度進行すると「慢性化→悪化→抜歯」という流れになりやすいのです。
【3. 放置した場合のリスクと予後】
最新の研究では、以下のような事実が明らかになっています:
📌 Class II〜III(中~重度)の根分岐部病変を放置した場合:
- 約37〜50%が 5〜10年以内に抜歯に至る(※1)
- 歯周病治療をしても改善が難しく、再発率が高い(※2)
📌 定期的なメインテナンスを受けていない場合:
- 歯の喪失リスクが4倍以上に増加(※3)
【4. 根分岐部病変の治療法】
状態に応じて治療法は変わります。
病変の状態 | 治療法 | 内容 |
---|---|---|
軽度(Class I) | 歯周基本治療 | スケーリング・ルートプレーニング |
中等度(Class II) | 外科処置(FOP、骨再生療法) | 歯肉を開いて直接洗浄、骨補填材を使用することも |
重度(Class III) | ルートセパレーション、抜歯 | 分割・分離して保存するか、残念ながら抜歯 |
【5. 実際の治療症例(Uデンタルオフィス症例)】

上の症例では、重度の根分岐部病変に対して歯周外科処置と補綴再設計を行いました。
患部の衛生管理が可能になり、抜歯を回避できています。
【6. 歯を残すためにできること】
- 早期発見・早期治療がカギ
- 定期的なプロフェッショナルケア
- マイクロスコープや歯科用CTを活用した精密診断
Uデンタルオフィスでは、顕微鏡レベルでの診断・治療と、根分岐部病変に特化した専門的アプローチを行っています。
Uデンタルオフィス恵比寿では、**できる限り「歯を残す」**ことを前提とし、以下のような段階的アプローチを行っています。
① 歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)
- 専用の器具やマイクロスコープを使用し、病変部の歯石・バイオフィルムを徹底除去
- 初期・中等度の病変であれば、これだけでも安定することがあります
② 歯周外科治療(フラップ手術)
- 歯茎を開いて直接分岐部を清掃し、病巣の可視化・除去を行います
- 必要に応じて**骨再生療法(エムドゲインや骨補填材)**を併用し、骨の回復を図ります
③ 歯根分割・ヘミセクション(状況に応じて)
- 重度の場合、感染した根を部分的に抜歯し、残せる根で歯を機能させる方法(再設計)も検討します
【まとめ】
- Class II以上の根分岐部病変は、メンテナンスしないと歯の喪失リスクが高い
- **治療時の抗生剤併用や、定期的なSPT(サポーティブ・ペリオ・テラピー)**が予後改善に重要
- 放置すると約30~50%が8~11年で喪失してしまう可能性があり、早期発見と継続管理が鍵
📍Uデンタルオフィス恵比寿
恵比寿駅から徒歩3分、完全個室・プライバシーに配慮した治療環境をご用意しています。
「奥歯が気になる」「抜歯は避けたい」という方は、ぜひ当院にご相談ください。
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✅参考文献
※1: Nibali et al. (2021). Long‑term prognosis of teeth with class III furcation involvement
※2: Avila et al. (2014). Longevity of multi‑rooted teeth with furcation involvement
※3: Miyamoto et al. (2017). Tooth loss risk in patients without regular periodontal therapy